まとめ

1)福祉用具のあり方とは

 今回の調査の中で一際感じたことは、介護現場における福祉用具の現状である。ここまで報告してきたニーズについて、実際のところ既に製品として存在しているものが多い。しかし、現場では製品として世に出ていることさえ知らなかったり、知っていても使用するまでには至らなかったりといった現状があった。また、いったん購入しても利用者の状態の変化に伴いすぐに使用できなくなって困っていたり、施設においては使わなくなった福祉用具が大量に放置されているといった場面にも遭遇した。
このような現状も、今後の福祉用具のあり方を考えていく中で重要視していくべき課題であると感じた。

また、今後の製品開発・モノづくりに向けては、大学の研究シーズや「官」のネットワーク等の利用、製品開発のための講習会・セミナーの活用なども有効ではないか、と考えられる。


2)今回の調査を振り返って

 調査員として今回の調査を振り返ってみると、訪問アポを取って初めて調査実施のスタートラインに立てるわけで、そのスタートラインまでの道のりがなかなか大変であった、ということが正直な感想である。
  しかし「郵送のアンケートだったら協力していなかった」「わざわざ訪問してまで調査するのだからこちらも真剣に取り組みたい」といった協力者からの声に支えられ、調査を無事遂行できたと感じている。
 今回の調査で収集した一つ一つのニーズが、少しでも今後のモノづくりにつながっていくこと、そして開発された製品がよりよい形で普及し、有効活用されていくことを期待したい。