活動実績

2016/10/27(木) 第109回岡山県医用工学研究会シンポジウム

第109回 岡山県医用工学研究会 平成28年度 第2回シンポジウム・交流会

中性子医療の社会実装に向けて-IAEA連携記念シンポジウム-


【日 時】平成28年10月27日(木) 13:30~19:30
【場 所】岡山大学鹿田キャンパス
      シンポジウム: Junko Fukutake Hall(岡山大学Jホール)
      交流会:医学部記念会館内 カフェテリアバンビ
【参加費】シンポジウム・コンサート:無料
      交流会:会員1,000円(非会員3,000円)

【共 催】岡山大学、NPO法人メディカルテクノおかやま
【後 援】国立研究開発法人科学技術振興機構、日本生体医工学会中国四国支部


◆プログラム
1.開会挨拶 13:30~13:35
 岡山県医用工学研究会会長・NPO法人メディカルテクノおかやま理事長 公文 裕巳

2.話題提供
「ホウ素中性子捕捉療法の最新の進展と岡山大学の取り組み」 13:35~14:00  
 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 細胞生理学分野 教授  松井 秀樹 氏

 ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)はホウ素薬剤と中性子線を併用するがん放射線治療である。BNCTは中性子源として原子炉を利用する第1世代、加速器型の中性子発生装置と従来のホウ素剤を利用する第2世代を経て、第3世代の開発に入っている。第3世代では腫瘍特異性・細胞内集積性の高い新規ホウ素剤と高性能の中性子発生装置の併用により高い治療効果と手術回避による患者さんのQOL向上が期待される。岡山大学では名古屋大学などと協力して、この第3世代BNCT開発に取り組むと共にIAEA(国際原子力機関)と連携してBNCTの国際標準化に取り組んでいる。岡山大学はこの研究推進のため本年10月26日、IAEAとのBNCT研究開発に関する連携協定を締結した。また平成28年度中に中性子医療研究センターを設置する予定である。

3.講 演1
「放射線医療とIAEA」
 14:00~15:15  
 IAEA(国際原子力機関)核科学応用局 物理化学部・部長  Meera Venkatesh 氏

 IAEA(国際原子力機構)は国連傘下の国際機関であり原子力の平和利用を目的としている。放射線・粒子線の医療応用の最終的な規制機関としても活動している。2005年にIAEAはノーベル平和賞を受賞しており、現在のトップすなわち事務局長は天野之弥氏である。IAEAは6つのDepartments(局)から構成され放射線・粒子線の医療応用はDepartment of Nuclear Science and Application(核科学応用局)が担当している。IAEAはこれまでの欧米の状況から判断してBNCTに対しては慎重な立場を取ってきた。しかし最近の日本における新規薬剤開発、加速器型中性子発生装置の開発や治験の状況に鑑み、方針を転換して、BNCT推進にむけたガイドライン作りを行いたいと考えている。また岡山大学とIAEAとの連携協定締結は大変有意義なものとして期待している。(本講演は英語にて行い、同時逐語通訳がつきます)
(IAEAならびにVenkatesh部長への謝辞 岡山大学理事・研究担当副学長 山本 進一 氏)

【休憩】 15:15~15:35

4.講 演2
「悪性脳腫瘍を中心とする難治性がんへのホウ素捕捉療法BNCTの適用」
 15:35~16:10
 大阪医科大学附属病院がんセンター 教授  宮武 伸一 氏

 ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)は、腫瘍に対する細胞選択的照射が可能な唯一の放射線治療法である。BNCT を一口で表せば化学療法と放射線治療のhybridであり細胞選択的照射が可能な放射線治療法である。本講演ではBNCTの原理、方法、悪性脳腫瘍を中心とした臨床成績、加速器中性子源を用いた展望等について自験例を中心に紹介、概説する。

5.講 演3
「南東北病院におけるBNCTの企画開発」 
16:10~16:45
一般財団法人 脳神経疾患研究所 附属 総合南東北病院
南東北病院グループ総長首席補佐監 口腔がん治療センター長  瀬戸 晥一氏
口腔外科医長  井川 和代 氏

 ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)は、ホウ素と中性子の反応を利用してがん細胞を選択的に破壊することができる細胞選択制粒子線治療として次世代のがん治療として期待されている。当院では2014年9月に世界で初めて病院設置型加速器BNCTシステムを導入し、京都大学原子炉実験所と共に、2016年1月より脳腫瘍6月より頭頸部がんに対するBNCTの第Ⅱ相試験を開始したのでその概要に関して報告する。

6.講 演4
「次世代加速器駆動中性子発生装置の開発」
 16:45~17:20
名古屋大学工学研究科 産学連携 加速器BNCT用システム研究講座 特任教授 土田 一輝 氏

 がんを細胞単位で殺すことができるホウ素中性子補足療法(BNCT)が究極のがん治療法として注目されています。本講演では、BNCTに使用する加速器中性子源として、静電加速器とリチウムターゲットを用いた「次世代加速器駆動中性子発生装置」について報告します。当該中性子発生装置は、中性子線質が良く小型なので、ガントリーに搭載することで患者様に優しいBNCT治療が実現できる可能性をもっています。

7.瀬戸瑤子ヴァイオリン・コンサート 17:30~18:15
 IAEAとの連携協定締結を祝して瀬戸瑶子先生(東京音大講師、元新日本フィル・コンサートミストレス、瀬戸晥一先生ご令室)によるミニコンサートを開催します。演奏曲目は当日発表致します。お楽しみに。

8. 交流会 18:20~19:30


◆参加者 シンポジウム 146名 / 交流会 43名
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