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File.61  日本貿易産業株式会社

内職の強みで、胴柄生産トップを支える

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  • ひな人形にも流行があるため、メーカーや卸会社の指定に応えるため、5,000種類もの反物を揃え、常時1,000体の胴柄を揃えている。
  • 絢爛豪華な見ごたえのある「御殿」の雛飾り
  • 代表取締役 飯塚 貞行 氏

備中松山の城下町、備中高梁駅からほど近い本町通りに店舗兼工場を構え、ひな人形の胴柄を全国で最も多く生産している日本貿易産業(株)。高梁市は、備中松山藩(現在の高梁市)の藩士である山田方谷が、数多くの産業を興したことから、細かなものづくりを得意とする人が多かった。そのため、古くから内職の文化が浸透している。当社も現在、県内を中心に約100人近い内職者を抱えている。

手作業による細やかな対応と、量産ができることに利点があった。その町の文化に着目して1960年に創業し、現社長は4代目になる。もともとクリスマスやイースター(復活祭)用の飾りを製造し、主にアメリカへ輸出していたことが社名の由来となっている。

10年が過ぎた頃、ドル・ショックの影響と第2次ベビーブームでの需要が重なったことから、分業作業で内職者を必要とする「ひな人形」の衣裳着胴柄製造を始めた。

ひな人形は頭・胴体・道具など分業制で作られており、その中でもきらびやかな胴柄部分を生産している。工場で胴体の芯となるワラを束ねた「ワラ芯」をカットし、頭部取り付け部を斜めに切断する。衣裳は、布の裏に紙を貼る裏打ちの工程を経て、必要なサイズにカットしたものが内職者に届けられ、柄の組み合わせの指示により着物に成形される。手の部品を取り付け、伝統工芸士が振り付けをして、一体ずつ仕上げていく。熟練の職人の絶妙な技により、生き生きとしたお雛様が完成する。工場には古典柄や流行柄など、それぞれの顔に合わせるため、胴柄だけでも1,000体が並び、メーカーの細かな要望に対応している。

店舗には「手作りのひな人形キット」や、華やかな布を使った「名刺入れ」「ポーチ」「ボトルカバー」などの雑貨が多数並ぶ。本格的な生地を使用した雑貨は、お土産物として販路を広げている。「出生数の減少によって市場は縮小しているが、形や柄を変え、時代の先を行く新しい商品を生み出し続けたい」と自社ブランド製作への意欲を語る。


【おかやま産業情報】2018年秋号 掲載
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日本貿易産業(株)
住所/高梁市本町58
TEL/0866-22-2850 FAX/0866-21-0118
http://www.ohinasama.jp

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