第126回 岡山県医用工学研究会 令和3年度第3回セミナー(オンライン開催)

第126回 岡山県医用工学研究会 令和3年度第3回セミナー(オンライン開催)

バイオマテリアル アップデート

【日時】2022年2月18日(金)14:00~16:15
【開催方法】Zoomミーティング

◆プログラム                              
1 開会挨拶
(14:00~14:10)
 岡山県医用工学研究会 会長 成瀬 恵治
 
岡山大学学術研究院医歯薬学域(歯)教授 松本 卓也


2 セミナー(講演と質疑応答)
【1】
生体軟組織用アパタイト系接着材の開発(14:10~14:35)
 
岡山大学学術研究院医歯薬学域(歯)教授 松本 卓也 
 
我々の研究室では硬組織である骨組織の発生を材料学的に検討し直し、参考にすることで、新たな生体材料開発の着想を獲得している。骨組織が発生、成長する過程は無機物質と有機物質の接着が持続的に起こる過程と捉えることができる。そこで、無機物質であるハイドロキシアパタイトを基盤材料とした軟組織に対する接着材の開発を行った。本講演では本アパタイト接着材の軟組織への接着メカニズムや応用について最新の知見をもとに概説する。
 
【2】
多機能性金属バイオマテリアルの開発(14:35~15:10)
 
東京医科歯科大学生体材料工学研究所 教授 塙 隆夫 
 本来生体機能を持たない金属材料への生体機能性付与について、世界での趨勢とともに、我々の研究室での研究開発例を紹介する。電気化学的表面処理技術による骨形成促進と抗菌性を同時に示すデュアルファンクション表面の創出、微細周期構造による幹細胞の接着と分化の制御、合金設計および製造プロセスによる従来のチタン合金では達成できない、高強度、低ヤング率を同時に示す新合金の研究開発などを、金属表面化学、材料工学に基づいて概説する。

【3】生体構造に倣ったポリマーバイオマテリアルの創出と医療機器への実装(15:10~15:45)
 
東京大学 名誉教授、大阪大学大学院工学研究科 特任教授 石原 一彦 
 細胞膜は細胞間の情報制御など生命活動に重要な界面として作用している。この細胞膜構造を医療機器表面に形成させることを目的として、生体親和性のポリマー (MPCポリマー)を、分子設計、合成し、その工業化に成功した。さらにこのポリマーバオマテリアルを利用して、循環器系、運動器系、代謝系さらには眼科領域のさまざまな医療機器を創製した。本講演ではMPCポリマーの特性とその応用に関して開発経緯を解説し、その将来展望に関しても概観する。

【4】再生医療とバイオマテリアル:「社会の中の再生医療」(15:45~16:15)
 
東京女子医科大学先端生命医科学研究所 教授 大和 雅之 
 再生医療は組織工学と幹細胞生物学の進歩・発展により、生体がもつ再生力を最大限引き出して疾患の治癒を目指す最先端医療の一つであり、全世紀末から大きな注目を集めてきた。京都大学の山中伸弥先生のノーベル賞受賞もあり、日本では一般国民にも広く認知されているが、その詳細が十分理解されているとは言い難いというのが偽りのない現状である。本講演では、組織工学・再生医療研究の黎明期からこの分野に関与してきた経験を元に、その歴史を概観するとともに、その将来を展望したい。特に米国の組織工学研究はバイオマテリアル研究に端を発しており、今後期待される発展も、バイオマテリアル研究と協調していくものと期待される。

【主催】岡山県医用工学研究会
【後援】岡山大学大学院医歯薬学総合研究科産学官連携センター、日本バイオマテリアル学会中四国ブロック


◆参加者: 62名

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