第129回 岡山県医用工学研究会 令和4年度第3回セミナー(オンライン開催)
「蛋白質機能の解明・創発に基づく医用工学・創薬への展開」
【日時】2023年2月28日(火)14:00~15:40
【開催方法】Zoomミーティング
◆プログラム
1 開会挨拶(14:00~14:10)
岡山県医用工学研究会 会長 成瀬 恵治
岡山理科大学 生命科学部 教授 松浦 宏治
2 セミナー(講演と質疑応答)
【1】G蛋白質共役型受容体を標的とした創薬の新展開(14:10~14:40)
岡山理科大学 生命科学部 生物科学科 教授 中村 元直 氏
G蛋白質共役型受容体(GPCR)を標的とした創薬は、これまでのシンプルな拮抗剤や活性化剤の開発から新しい時代へと移り変わろうとしている。バイアス型リガンド、インバースアゴニスト、薬理学的シャペロンなど、これまでとは異なるコンセプトのGPCR創薬が展開中であるが、最初にこうした新しいアプローチについて概説する。後半は、850種類以上あるとされるGPCRファミリーの中でも最も創薬標的から遠いと思われる味覚受容体を話題として取り上げる。我々は現在、この受容体の創薬標的としての価値を探ろうとしているが、その内容を紹介し、将来性について議論させていただきたい。
【2】12型コラーゲンの骨におけるメカノセンサーとしての役割(14:40~15:10)
岡山理科大学 獣医学部 獣医学科 助教 梶川 修平 氏
骨は重力や筋張力といった力学的負荷(メカニカルストレス:MS)の影響を受けており、寝たきりや運動といったMSの増減は骨量増減と正に相関する。これまでの報告から、骨細胞がMSによる骨量制御の中心的な役割を担うとされてきたが、その全貌は明確にされていない。本研究発表では、我々の研究室で着目している12型コラーゲンが骨芽細胞のメカノセンサーとして機能し骨量を制御していることをマウス尾部懸垂(後肢にかかるMSを減らす)モデル実験を用いて示しており、MS低下を原因とした骨量減少症の新たな治療標的となる可能性を報告する。
【3】自己抗体バイオマーカーのプロファイリング・モニタリング技術による個別化医療のサポート(15:10~15:40)
岡山大学学術研究院ヘルスシステム統合科学学域 バイオ・創薬部門 教授 二見 淳一郎氏
末梢血中には健常人でも多様な自己抗体が存在するが、自己免疫や腫瘍免疫の活性化に伴って上昇するため、免疫の状態を評価するバイオマーカーとなる。出現する自己抗体には個人差があり、微小な変動も臨床経過とよく相関することから、網羅性と定量性を兼ね備えた評価系が必要になる。本講演では、変性タンパク質の可溶化技術を活用した自己抗体測定アレイの技術概要と、免疫チェックポイント阻害剤の奏効率予測や免疫関連副作用のリスク評価に活用できる可能性についてご紹介したい。
【主催】岡山県医用工学研究会
【後援】岡山大学大学院医歯薬学総合研究科産学官連携センター、日本生体医工学会中国四国支部
◆参加者: 40名