第101回 岡山県医用工学研究会 平成26年度 第2回シンポジウム・交流会
先端計測技術が支える脂質メタボローム研究
【日 時】 平成26年10月10日(金) 13:25~19:00
【場 所】 岡山大学鹿田キャンパス シンポジウム: 地域医療人育成センターおかやま3階講義室(MUSCUT CUBE) 交流会:カフェテリア・バンビ
【参加費】 シンポジウム:無料 交流会:会員1,000円(非会員3,000円)
【共 催】 特定非営利活動法人メディカルテクノおかやま
【後 援】 岡山大学医歯薬学総合研究科産学官連携センター、(独)科学技術振興機構産学基礎基盤推進部、日本生体医工学会中国四国支部
◆プログラム
1.開会挨拶 13:25~13:30
岡山県医用工学研究会会長・NPO法人メディカルテクノおかやま理事長 公文 裕巳
2.話題提供 【岡山産学官連携の展望】 13:30~14:00
「動脈硬化性疾患に対するOMICを基盤とする分子イメージング・リピドーム研究」
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 教授 松浦 栄次 氏
心筋梗塞や脳梗塞など重篤なアテローム性動脈疾患の原因となる脂質代謝異常については、様々な病態生化学的な解析によりその機序が明らかにされつつある。我々は、当該疾患の責任分子である酸化脂質と関連タンパク質、あるいはそれらの相互作用を解析するとともに、これらの知見をもとにin vitro体外診断薬あるいはin vivoイメージング診断法の開発を行っている。
当日は、おかやまメディカルイノベーションセンター(OMIC)と、当該センターで実施されているリピドーム研究について簡潔にご紹介させて頂く予定です。
3.特別講演
【第一部:基礎から臨床へ(トランスレーショナル研究)】
①「スフィンゴ脂質の代謝と機能」 14:00~14:45
崇城大学生物生命学部応用生命科学科 教授 武谷 浩之 氏
スフィンゴ脂質は生体膜の構造維持や脂質マイクロドメインの形成だけでなく、セラミドやセラミド1-リン酸、スフィンゴシン1-リン酸などの生理活性脂質としても機能し、多彩な生理・病理作用を示す。本講演では、スフィンゴ脂質代謝産物の産生・分解と生理・病理機能発現の分子機構について、基本的事項から最近の研究成果まで わかりやすく解説する。
②「リゾリン脂質の病態検査学の確立」 14:45~15:30
東京大学大学院医学系研究科 臨床病態検査医学 教授 矢冨 裕 氏
私たちは、第2世代の生理活性脂質として注目されているリゾリン脂質の病態生理学的役割を探求する過程で、それらの脂質そのもの、または、その産生酵素等のバイオマーカーとしての意義を明らかにしてきました。リゾホスファチジン酸(lysophosphatidic acid; LPA)とその産生酵素オートタキシン(autotaxin; ATX)を中心に、最新の知見、そして、その成果の日常臨床検査への応用を目指した取り組みを紹介させていただきます。
【休憩】 15:30~15:45
【第二部:メタボローム研究を支える計測・解析技術開発およびその応用】
③「LC-MSによる脂質メディエーターの網羅的解析」 15:45~16:30
東京大学大学院医学研究科ライフサイエンス機器支援室 リピドミクス社会連携講座 准教授 北 芳博 氏
脂質メディエーターはリン脂質や脂肪酸などを前駆体として生体内で産生され、様々な生理機能や疾患メカニズムに関わることが知られる生理活性物質の総称である。本講演では我々が開発、運用しているLC-MS法による脂質メディエーター類の高感度定量技術について、実際の研究への応用例を交えながら紹介したい。
④「科学計測と医療イノベーション」 16:30~17:20
株式会社島津製作所 常務執行役員 技術研究副担当 基盤技術研究所 所長 吉田 佳一 氏
科学の発展は、仮説、検証、修正を繰り返し、この過程から仮説が新しい理論・定説となる過程ととらえることができる。この検証の手段として科学計測が必須となる。このことは過去のノーベル賞の多くは新しい計測手段を伴っていることから理解できる。最近、医療分野で新しい計測手段として注目されている質量分析の原理や開発経緯、これによる医療イノベーションについて紹介する。
■ 交流会 17:30~19:00
◆参加者 シンポジウム 105名 交流会 39名