一般社団法人 美作青年会議所
第46代 理事長 檜尾 泰幸

2020年度 一般社団法人
美作青年会議所 スローガン 及び 理事長所信

【はじめに】

私は2016年に入会以来、多くの経験と学びを得ながら活動してきました。入会当初は青年会議所の活動の意味を理解して参加していたわけではありませんでした。ただメンバーとともに活動し、事業を創り上げていくことに楽しみを感じ参加していました。活動をしていくなかで時には困難にぶつかったり、失敗したり経験を通して多くを学び、徐々に理解を深め、自分自身の考え方が変化していきました。今は地域の担い手として地域課題に向き合い、まちづくりをしていく必要性を感じています。また、青年会議所のメンバーであるとともに中学校2年1年生の子供を持つ父親でもあります。当初は仕事と子育てをしながら、更に青年会議所活動を行うことは難しいと感じていました。しかし、家族やメンバーの理解と協力に支えられ活動を継続でき、様々な経験をしたことで、行政や他団体、地域の方などの多くの人と出会い、多様な考え方を知り、取り組むべき地域課題も見えてきました。その活動のなかでこども達の未来を考えたとき、目指すべき地域の未来も見えてきたように思います。

 青年会議所は「明るい豊かな社会」の実現に向けて活動しています。この明るく豊かな社会とは、地域で暮らす人々やこども達がこの地域で暮らしてよかったと思える地域です。地域の人達が互いに認め合い、共に支え合っていくことで絆が生まれ、笑顔があふれるまちを創造することができると考えます。

 私たちはこの地域で生まれ育ち、仕事を営み、こどもを育てる者としてその全てに責任を持たなければなりません。今、地域の責任世代である自分自身が率先して明るい豊かな社会に向けて行動することが必要です。

【組織の強固な結束力と魅力の発信】

本年度、美作青年会議所のメンバーは15名でのスタートとなります。近年、会員数は減少の路を辿っております。40歳で卒業を迎える青年会議所の性質上、今後私も含め、多くのメンバーが卒業します。同じ志をもつ仲間を増やしていかなければ組織は衰退します。逆に仲間が増えれば地域のため、こども達のためにできることが多くなります。先輩諸氏から受け継いだ美作青年会議所が地域に必要とされる団体であり続けるためには、同じ志をもつメンバーの拡大は最大の課題です。私は、人とひととの絆やつながりを大事にしていくことが青年会議所活動を行う大きな課題であると考えます。「この人に頼まれたから 」「この人のためなら」という気持ちがメンバー同士の結束を生み、それが自分のため、お互いのためになってきたのではないかと感じています。このような結束力こそが組織の活性化へとつながります。一人ひとりが個人としての魅力を磨きつつ、一人ではなしえないことをメンバーで協力し合い、切磋琢磨し合うことで自身の成長を遂げることができると思います。感謝の心、思いやりの心を持って人との出会いを大切にし、まずは会員拡大を目指す私たち自身が青年会議所活動で得た魅力を多くの人に伝えること、組織の強固な結束力こそが、会員拡大の一歩であると考えます。

【自身の成長が結ぶまちの発展】

 我々は「まちづくり」の組織です。「まちづくり」には、必ず行動を起こす人の存在が必要であり、人の力なくしてはまちの発展はありません。「まちづくり」=「ひとづくり」であり、「ひとづくり」なくして、「まちづくり」はありえません。近年美作青年会議所の会員構成は歴の浅い会員の比率が高くなっています。この状況は、新たな人材によって未知なる可能性を秘めた創意・工夫が生まれる、組織としての伸び代であると考えます。だからこそ、「まちづくり」に欠かせない「ひとづくり」へしっかり注力していくことは組織の責務であり、地域の未来に対しての課題であると考えます。青年会議所は、青年期における自己成長を図る上での学びの場だと例えられます。日々の活動を通して仲間と切磋琢磨していくなかで、一人では決して得られない成長を得ることができるのです。人は人によってしか磨かれず、人としての力と心を磨き合える環境が青年会議所にはあります。この組織の環境を存分に活かし、会員各々がリーダーとしての素養を身につけなければなりません。 私が描くリーダー像とは、何事に対しても自らが率先して行動する強い意志と健全な公共心を併せ持ち地域や企業を牽引できる資質を備えた者だと考えます。青年会議所を卒業された先輩の多くが、地域の各界各層を牽引するリーダーとしてご活躍されています。その紛れもない事実こそが、高い目標や困難から目を背けず前向きな気持ちで何事にも挑戦する青年会議所での経験の賜物であることを物語っているのではないでしょうか。今を生きる私たちも、掲げた目標の達成に向け果敢に挑む精神性を養い、そして絶えず実践し続けていくことで、地域から必要とされる人材へと成長しなければなりません。さらに、青年経済人としての観点からも地域社会の発展を考え、他者に先駆けて能動的に行動を起こす人材へと成長しなければなりません。そのためには、会員一人ひとりが地域の未来の原動力となるべく、まずは青年会議所に対する理解を深め何事にも果敢に挑戦する人となることで、愛する地域をより一層の飛躍へと導くことができると考えます。 そして、会員が日々の活動を通じて学び得た力を互いに共有し高め合い、それぞれが持つ力を青年会議所運動に転換し、地域の持続的な発展を目指し未来へ向け歩みを進めます。

【地域未来の担い手の育成】

 いつの時代も子どもの存在は希望の象徴であり、未来そのものだと思います。まちづくりの観点からも青少年の健全な育成は切り離せない重要な課題であり、青年会議所における取り組みの大きな柱の一つです。私自身もこれまでに、青少年育成の事業に関わり地域の大人として、責任世代として考えるべきことを学んできました。戦後から今日に至るまでに日本では、食べるものに恵まれ食文化の欧米化や医療技術の進歩も相まって子どもの発育や肉体的な成長の面においては世界的にみても恵まれた環境にあります。しかし一方で、時代やライフスタイルの変化とともに子どもを取り巻く環境は大きく変わり、精神的な心の成長の面においては次から次に新たな課題が山積している現状があります。科学技術の進歩によって、ありとあらゆる情報を指先一つで容易に得られるようになり、労することも経験することもなく間接的に知識が手に入るようになりました。利便性や効率の面を考えるとその恩恵を否定できませんし、その流れに逆らうという選択肢は現実的ではありません。しかし、心と体の調和がとれた子どもたちの健全な育成、心の成長を考えると大人として考慮しなければならない側面があるのも事実です。 核家族化が進み、地域のコミュニティもこれまでと比較すると乏しさを増している傾向にあります。先述した科学技術の発達も併せて考えると、今の子どもたちには故郷や人との関わり、そして様々なことを実際に経験する機会が圧倒的に不足しています。こういう時代だからこそ、私たち大人がより一層意識的に様々な経験の機会を提供しなければならないと考えます。故郷への関心向上を促し、地域の多くの世代とのふれあいをもたらし、健全な経験の機会を与えることで、多感な子どもたちの感性に良質な刺激を与えてあげなければなりません。子どもたちの感性を磨き、心と体が調和した人間性を育むことで地域の明るい未来が拓かれると確信しています。 地域に根差し「まちづくり」そして「ひとづくり」を行う青年会議所として、青少年育成に関わる運動と意識を他者へ伝播することで連携を生み出し、地域における一体的且つ持続的な取り組みのサイクルを定着させなければなりません。会員一人ひとりが周囲に対して積極的に働きかけ、地域未来の担い手の育成を進めます。