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File.99  株式会社大西商店 印刷部

印刷物の魅力や紙の良さを発信する

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  • 商店街の洋服店を改装した体験施設「備前凸版工作所」。地域のにぎわいづくりの拠点としても期待される
  • 【書き写しノート「My論語帳」・旧閑谷学校カレンダー・一筆箋】地域の魅力を発信するため備前焼や閑谷学校をモチーフにした自社商品の開発に注力
  • 【ハイデルベルグ印刷機】現在も使用している活版印刷機

 1920年、活版印刷業者として創業し、1952年に法人化。オフセット印刷機をいち早く導入したほか、デジタル製版や効率的な刷版作成システムなど、時代に即した設備投資を積極的に進めてきた。技術者育成にも力を入れ、「機械と人」を重視する経営を続ける。地域の幅広いニーズに対応するため、企画・デザインから製本・加工までの一貫生産体制を整えているのが強み。耐火物メーカーや備前焼の窯元、官公庁などが主な顧客で、名刺や封筒、情報誌、パンフレット、しおりなどの商業印刷を手掛けている。

 4代目に就任した翌年2015年に備前市内の特別史跡・旧閑谷学校が日本遺産に認定されたことを契機に、閑谷学校をモチーフにしたカレンダーや一筆箋、儒学にちなんだ論語書き写しノートや孔子像お守りなどを考案して、地域に密着した自社商品の開発に力を注いできた。観光施設やドライブインで販売し、地域のPRに一役買っている。「年に一つは新商品を出すと目標を掲げ、スタッフで開発チームを編成しアイデアを出し合った」と話す。

 さらに、岡山を拠点に活動するデザインユニット「COCHAE(コチャエ)」と協業し、プロダクトブランド「備凸工(びとっこう)」を立ち上げた。ペーパークラフトやモビール、カードなど、遊び心あふれる製品を次々とリリースしている。

 2024年8月には市内中心部の片上商店街に体験施設「備前凸版工作所」をオープンさせ、印刷物の魅力を発信している。事業再構築補助金や市の空き店舗対策家賃補助を活用し、内装などはCOCHAEがプロデュース。壁には活版印刷の金属活字がびっしりと並んでおり、そのそばでは年代物のハイデルベルグ印刷機が現役で稼働する。活版の形をした棚や「凸」の字をデザインしたドア取っ手など、ユーモアに富んだデザインが随所に施されている。

 工作スペースでは、活版印刷機を使った創作や、自作の絵や写真を印刷したTシャツ・トートバッグ作り、はんこ作成などの体験メニューを用意。カフェやギャラリーのほか、紙や雑貨の販売スペースもある。印刷物作成に関する相談にも随時応じている。

 「紙の風合いやインクの香りなど、紙製品には独特の魅力がある」と語る大西氏。「印刷文化を未来に残すべく、今後は多くのクリエイターの創作活動のお手伝いをしたい。人々の集う場をつくることで、商店街の活性化に貢献できれば」と話す。


【おかやま産業情報】2025年新春号 掲載
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株式会社大西商店  印刷部
住所/備前市西片上62
TEL/0869-64-2111 FAX/0869-63-1110
https://www.ohnishi-print.com

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