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File.101  立花容器株式会社

さまざまな容器を通じて楽しい生活を提案する

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  • 造り酒屋向けのたる製造で創業し、現在でも食品用容器を得意とする。さまざまな「うつわ」で生活に彩りを与え続けてきた
  • 本社社屋
  • たる製造の技術を生かし、家庭でも使用できる大きさに

 1915年に木桶業者として倉敷市玉島柏島で創業。戦前は造り酒屋向けに醸造用や流通用のたるを製造販売していた。戦後、素材の変化に伴いプラスチック容器の製造へと業容を拡大し、1990年に矢掛町の工場を新設した。「発酵食品メーカーとの長年の取引や全国に広がる営業網が強みとなり、時代の変化に対応できた」と立花氏。現在は「医・食・住・遊」を主な事業領域とし、特にしょう油や漬物など祖業と関係の深い発酵食品の容器を得意とする。感染症予防に効果的とされる医療廃棄物を処分する容器は、コロナ禍を機に需要が伸長した。

 10年前の創業100年を機に「チアフルライフ」をミッションに掲げ、エンドユーザーへの商品展開やSNSでの発信などを強化している。若手社員を中心としたプロジェクトチームの新たな発想から商品を生み出しており、打楽器や木製スピーカー、ネコの寝床「NERUKOベッド」など、間伐材を利用したユニークな商品を専用のECサイトやクラウドファンディングで販売している。「NERUKOベッド」は木桶職人が創業以来の技術を生かして滑らかな肌触りに仕上げており、備中松山城の猫城主「さんじゅーろー」も愛用している。プロジェクトチームの活動は商品開発にとどまらず、年2回玉島の木製工場を一般開放してコンサートを開催。キッチンカーも出店し、地域ににぎわいをもたらしている。

 環境に配慮した商品にも力を入れており、2024年には英国のスキンケアブランド「LUSH(ラッシュ)」のシャンプー向けに、海洋ごみを再利用したボトルの製造を始めた。食品関係で取引があった商社からの紹介で、小ロットに対応できたことで連携が実現した。大学との共同研究による原料開発にも取り組み、非食品向けの容器での再生原料使用率は年々上昇しているという。

 原点である木を扱う業者の責務として、矢掛町で植林活動を展開。矢掛では行政と連携して「立花容器の森」を整備し、社員の子どもたちに苗の植え付けを体験してもらったり、社員のレクリエーションに活用したりしている。

 また、地域貢献として、近年は自社での経験をもとに、取引先のクラウドファンディングもサポートしている。「今後は木とプラスチックを使用した建築資材など、比較的弱かった『住』の分野にも注力し、時代に合う多様な商品を世に出していきたい」と話す。


【おかやま産業情報】2025年春号 掲載
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立花容器(株)
住所/小田郡矢掛町浅海385-1
TEL/0866-82-3300 FAX/0866-82-3401
https://www.spac.co.jp/

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