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File.62  有限会社ファインアートかわばた

膜天井で人々の安全を守る

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  • 1枚のパネルのような仕上がりで、膜材の特徴である照明拡散効果により、光を適度に反射させる
  • 代表取締役 牛垣 和弘氏  10月に開催された防災製品大賞2018において、「ファイバーシート天井システム」が復興支援部門で銅賞を受賞
  • 一級技能士が熟練の技術を生かして膜材で製作した、しなやかさと丈夫さを兼ね備えた「美作國の帆布バッグ」

美術大学出身の先代社長が「帆布素材を使って街を彩りたい」という夢を実現させるために、昭和53年に創業した。テントは主にポリエステルを基布としたシート状の膜材でできており、店先のカラフルな日よけテント以外にも、工場の間仕切りや倉庫など、多様な場所や用途に使われている。

近年では、膜材構造の技術を生かし、「膜天井」と呼ばれる天井の製造に力を入れている。従来の天井板と比較して非常に軽量で、0.4mmほどの薄さにも関わらず破損しにくい。

東日本大震災により、多くの天井が崩落して大惨事が起きたことに衝撃を受け、「安全を守る天井を早急に製作しなければならない」と考えた。自分の思いを形にすることに試行錯誤していた時、つやま産業支援センターから助言をもらい、異業種と連携した新しい膜天井システムを開発し、製品化にこぎ着けた。従来の天井は、地震による大きな揺れで崩落して被害が出る危険性が高いが、四方の壁や柱に独自のリール式テンション金具を取り付けることで、天井を構成するために必要な吊金具や天井裏の鋼材を取り除き、緩みない膜天井を造ることが可能になった。

完成した金具は財団内にある知財総合支援窓口を活用し、特許および意匠の権利を得ることができた。「災害に強い天井を製造したい」という一心で開発を進めるに連れて、賛同する企業や団体が徐々に増え、現在では中学校などの教育施設や工場、高速道路のサービスエリアなどで使用されている。

天井が崩落すると、被害が出るだけでなく、復旧に時間もコストも掛かるが、ファイバーシート天井システムを導入すると、軽くて柔らかいため被害は最小限で済み、復旧も早い。避難場所に限らず、安全な空間づくりに役立てたい。より多くの企業や団体に導入されるために、展示会やイベントなどに積極的に参加し、膜材が持つ優位性を広めている。

「ファイバーシート天井システムの研究に注力し、安全性を提唱し続けていく。また、デザイナーや建築会社と連携して、膜材を使ったおしゃれな空間を提供したい」と熱く語る。

【おかやま産業情報】2018年冬号 掲載
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有限会社ファインアートかわばた
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