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File.80   有限会社吉備路オーガニックワーク

農業を通じて中山間地域の活性化に貢献する

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  • 糖度12度の有機ニンジン。栽培技術にこだわることで、秀品の収穫率を増やし、付加価値向上に取り組む
  • 太陽熱と微生物の力を利用した土作りを行うことで、病気や害虫を防ぎ、味が良く栄養価の高い農産物を作る「BLOF理論」を実践
  • 総社農園

 約20年間勤めた会社を退職後、農産物直売所の集荷・販売スタッフや観光農園の運営を経験する中で、農業は食を維持するために「世の中になくてはならないもの」と考えていた。一方で、力仕事が多く、作物の生育が天候に左右される農業は、心身共に忍耐力が求められる。こうした理由から、高齢化が進む中山間地域では、就農者が減少しているのも事実。このままでは耕作放棄地が増え、人と人とのつながりも希薄になり、地域が衰退してしまうと懸念していた。
 直売関係の仕事をきっかけに、総社農園で化学合成された肥料や農薬を使わずニンジンを生産する香西達夫氏と出会った。全国的にも珍しい有機栽培のニンジンは、えぐみがなく、生のまま食べられるほど甘みたっぷりの逸品。縁あって平成26年に引き継ぎ、現在では有機JAS認定を受け、総社市ふるさと納税の返礼品や学校給食の食材に使用されている。良質なニンジンを生産する秘訣は、丁寧な土作りにある。引き継いだ当初は2.5トンだった収穫量を、土壌改善に取り組むことで現在4トン強まで増やすことができた。
 
平成29年には、収穫体験を主とするくぼ観光農園を引き継いだ。ここでは「地域の人が喜ぶことをしたい」をモットーに、ブドウ狩りや芋掘りなど、観光農園としての役割はもちろん、直売所では、地域の旬な野菜や果物を販売し、生産者と消費者とのつながりを大切にしている。閑散期には、地域の声から始まった杵うすの餅つきを毎週末開催。昨年度はコロナの影響を受け、団体客が約70%も減少したが、こうした地域密着型のイベントを行うことで、個人客の増加につながった。
 
今後は、地域の耕作放棄地を農地として整備を進め、中山間地域の活性化につなげていきたいと考えている。また、社員と連携して作業を標準化することで、生産性向上を図り、農業生産法人として岡山の農業をけん引するモデルケースを目指している。課題は多いが「孫の世代に緑豊かな地域を残したい。そのために、農業の魅力を伝え広め、地域の人々を巻き込んで農地を守る仕組みを構築していきたい」と意気込む。


【おかやま産業情報】2021春号 掲載
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有限会社吉備路オーガニックワーク
住所/岡山市北区御津紙工2747-1
TEL/086-726-0511
FAX/086-726-0577
https://kibijiorganicwork.com/

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