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File.82  ひるぜんワイン有限会社

地域活性化のためにワイン造りに挑戦

  • 雄大な自然が広がる蒜山高原にワイナリーを構え、ヤマブドウの栽培からワインの製造販売まで一貫して行う
  • 改良を重ねた蒜山地域のヤマブドウは、甘みが強く、酸味が少ないのが特長
  • 圃場

蒜山三座の麓に自生するヤマブドウは、日照時間や良質な水に恵まれ、酸味の中にも甘みがあり、昔から健康に良いと親しまれていた。「このヤマブドウで地域おこしを」とヤマブドウの栽培とワイン醸造に取り組んだ。

 「自生しているのだから、勝手に実はできる」と高をくくっていた。しかし、ヤマブドウの樹は雄雌に分かれているため、自然受粉では結実にばらつきが生じ、一定量の収量確保が難しかった。また、霜で新芽が枯れてしまうため一晩中火を焚いて防いだり、積雪に備えてブドウ棚から下ろした樹を春には再び棚に上げたり、重労働が多く、苦難の連続だった。

 結実を安定させるため、42歳で岡山大学農学部に入り、共同研究を開始。ヤマブドウを徹底的に分析し、3年半掛けて特性を明らかにした。その結果、当初は約1.9tだった収量を約20tまで増やすことができた。

 ヤマブドウは酸味が強いことから、ワインに向いていないという考えが一般的だったが、何度も改良を重ねて甘みの強い品種の栽培に取り組んだ。また、品質向上のために、大手ワイナリーの工場長から、最先端のワイン醸造技術を学んだ。酸味と甘みのバランスが良くスッキリとした味わいのワインは、当初の計画から39年を掛け、アジア最大規模のワイン審査会「Japan Wine Challenge2015」で金賞を受賞。

 道の駅などを主とした販売を行っていたが、より一層の訴求をするためには直売店が必要だと感じ、平成22年には新ワイナリーをオープン。試飲コーナーは、消費者に直接こだわりを伝えられることに加え、県内外から訪れる消費者の声を参考に販売戦略のヒントを得ることができる。また、これまでのノウハウを生かしてジャムやジュース、蒸留酒「グラッパ」などの新商品の販売にも挑戦している。こうした取組が集客につながり、ワイナリーでは年間売上の約6割を占めている。

 「ヤマブドウの認知度はまだまだ低いと感じている。今後もヤマブドウの可能性を最大限に引き出した商品の開発や、情報発信を行い、地域の活性化に貢献していきたい」と語る。



【おかやま産業情報】2021年秋号 掲載
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ひるぜんワイン有限会社
住所/真庭市蒜山上福田1205-32
TEL/0867-66-4424 
FAX/0867-66-7017
https://hiruzenwine.com/

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