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File.86  井原鉄道株式会社

地域と共に人を呼び込む仕掛けづくりに挑戦!

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  • 車両基地:特別車両「夢やすらぎ号」(写真左)やラッピング車両「アート列車」(右)を運行し、鉄道に乗る楽しみを提供
  • アート列車:芸術家・太田三郎氏によって切手風に名画を展示。エル・グレコ「受胎告知」やモネの「睡蓮」など名画43点でラッピングしている
  • インスタ映えするフォトスポットを設置。この前で写真を撮ればあなたも名画に!?

 昭和61年、第三セクター方式により井原鉄道(株)を設立。総社駅から神辺駅まで41.7kmを結ぶ路線として、年間約100万人が利用し、平成11年1月11日の開業以来、利用者は延べ2,400万人を越えた。沿線地域の利便性向上だけでなく、コロナ禍以前には、ワンコインで1日乗り放題となる「井原線感謝デー」を毎年1月に開催し、住民参加型のイベントを企画するなど、地域活性化にも貢献してきた。

 乗客の安全輸送と定時制の確保は鉄道会社の使命と捉え、安定的なサービスの提供を図る中で、西日本豪雨が発生。未曾有の災害により、真備地区の電気設備が浸水し、2カ月間運休せざるを得ない状況となった。その間、沿線住民から励ましの声を受け、「変化する社会の中で継続して運行し、地域の活力を維持していかなければならない」と再認識した。

 そして、新型コロナ感染症拡大の影響を受け、さらに利用者数が減少する中で、沿線地域外からも人を呼び込む仕掛けが必要だと考え、創立90周年を迎えた大原美術館と「アート列車」を企画。以前から構想はあったものの、形にできていなかったため、ウィズコロナを見据えて再始動した。クラウドファンディングで全国から寄せられた721万円を活用し、昨年3月に名画をフルラッピングした車両が完成。また今年2月には、天文王国おかやまの星空をイメージした列車「スタートレイン」の運行も開始した。観光列車として車内空間を生かしたイベントを開催し、沿線地域の魅力発信に取り組んでいる。

 現在は、千葉県のいすみ鉄道(株)と連携し、グッズの相互販売や直筆の限定鉄印を販売するイベント「い鉄の日」を実施するなど、全国の第三セクター鉄道会社とタッグを組み、新たな展開を模索している。「地域鉄道各社との連携事業は、より多角的な視点を取り入れることができ、持続発展のカギになると確信している。会社を取り巻く環境は依然として厳しい状況が続いているが、今年7月開催の岡山デスティネーションキャンペーンに向けてツアーを組むなど、広域から利用者を呼び込み、地域経済の活性化に貢献していきたい」と語る。


【おかやま産業情報】2022年春号 掲載
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井原鉄道株式会社
住所/井原市東江原町695-1
TEL/0866-63-2677 
FAX/0866-63-2688 
https://www.ibara-railway.co.jp/

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