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File.87  株式会社小倉商店

「もったいない」を「おいしい」に変える!!

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  • 天然真鯛ほぐし 天然黒鯛炙りほぐし:真鯛のあっさりした白身をほぐして、「白湯出汁」で煮詰めることで濃厚な出汁がしみこんだご飯のお供にぴったり
  • 最新の設備を導入するとともに、働き方改革に取り組み、従業員の働きやすさと生産性を高めた
  • 急速冷凍機「凍眠」により、刺身などの生食冷凍保存を可能に

 大正8年、二日市町の岡山魚市場にて水産物仲卸業者として創業。昭和58年、市場が現在の場所に移転した当時は、大量の地物水産物が入荷され、活気に満ちあふれていた。3代目の正幸氏は昭和59年に入社。「当時と比べると、漁獲量の減少、流通経路の多様化などの影響を受け、仲卸業者をはじめ、漁業関係者の経営を取り巻く環境は非常に厳しくなっている」という。中央卸売市場の取扱高ピークは平成3年の1,000億円。現在は半減しており、影響はかなり大きい。

 近年は、大量の魚を扱う量販店が効率化を重視した加工販売を行うため、漁獲量や大きさが安定しない魚には値段がつかず、未利用魚として廃棄されている。高級魚として知られるハモにいたっても、骨切り加工の手間が掛かるため、敬遠される傾向にある。そういった魚も昔は、お得意様の家族構成を把握した町の魚屋が、おいしい食べ方を伝授して売り捌く光景があった。
 おいしく食べられるにもかかわらず捨てられる現状に「もったいない」と感じていた。「海と漁業を守る」ことが当社の使命と考え、SDGs宣言し、未利用魚の活用に取り組んでいる。

 まずはハモの骨切加工が可能な最新設備を導入し、年間3~5トン程度の加工を行ない廃棄を防いだ。令和3年には、初のクラウドファンディングにも挑戦。「もったいない」の思いに賛同した企業とのコラボ商品「天然真鯛ほぐし」「天然真鯛茶漬け」などの開発に着手。開発時、すぐさま3割程度しかない歩留まりの低さに直面したが、「もったいない」精神で試行錯誤の末、骨の髄まで活用し、天然真鯛本来のうまみが凝縮された「白湯出汁」を完成させ、贅沢感満載の商品に仕上げた。結果、130人もの支援者の共感を得られ、プロジェクトを成功させた。

 最近では、「急速冷凍」技術を利用し、鮮度、味を保ったまま6カ月以上長期保存が可能となる商品を開発した。冷凍することで寄生虫や食中毒対策となり、今後の未利用魚活用の事業展開において可能性が大きく広がった。真鯛、スズキ、ヒラメ、おこぜなどの地魚に適した加工を施し「いつでもおいしい魚を家庭や施設に提供し、海と漁業を守っていきたい」と語る。


【おかやま産業情報】2022年夏号 掲載
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株式会社小倉商店
住所/岡山市南区市場1-1
TEL/086-265-3939 FAX/086-265-3938 
https://www.setouchi-ogura.com/

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