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File.89  協同組合岡山県備前焼陶友会

岡山県を代表する工芸品の販路拡大を目指す

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  • 備前焼は、釉薬を使わない焼き締めによる素朴な風合いが特徴。うす茶色の素地に赤みがかった線が入る「緋襷(ひだすき)」など、窯変と呼ばれる焼き色
  • 伝統産業会館では、陶友会員の新作4,000点以上を展示即売。週替わりで作家が渾身の一品を出展するギャラリーもある
  • 【備前陶芸センター】陶友会が運営する教育研修施設。陶土の菊練り、ろくろのひき方など、作家の卵たちに技術を伝える

 古くから北前船が寄港し、日本最古の庶民の学校とされる閑谷学校が立地するなど、歴史に彩られた備前市。岡山県を代表する工芸品・備前焼はこの町で約800年、連綿と作られ続けている。窯焚きの燃料となるマツの割り木、田土(ひよせ)と呼ばれる良質な陶土。これらの恵まれた資源を、この地の先人たちは当たり前のように守り、窯の火をともし続けてきた。

 この伝統を今に伝える使命を帯びているのが、作家・窯元計147会員でつくる協同組合岡山県備前焼陶友会だ。JR伊部駅に併設する備前焼伝統産業会館と、作家の教育研修施設・備前陶芸センターを運営するほか、祭りやイベントを開催している。

 戦後に親睦団体として発足した陶友会は、昭和48年に協同組合化。国内外へのPR、地域団体商標の登録などに取り組んできたが、近年はコロナの影響もあり、売り上げが減少している。

 そんな中、販路拡大を狙いに、ECサイト「+b 備前焼ショッピングサイト」を令和4年2月に開設。会員が持ち寄った食器、酒器、茶器、細工物などをウェブ上で販売している。売れ筋はコーヒーカップや皿などの日常使いができる食器。写真撮影を作家や陶友会スタッフが務めるなど、内製化による経費削減にも努めている。

 また、今後の展開を見据え、百貨店のギャラリーでの展示即売も強化。特に、マーケティングやアンケート調査で手応えがみられた関東地方への売り込みに力を入れていきたいという。

 令和4年10月には3年ぶりに備前焼まつりを開催。地元伊部出身のプロ野球オリックス・山本由伸選手のサイン入り陶板が当たる抽選会は大好評だった。また、陶芸ファンのみならず幅広い人に楽しんでもらうため、感染対策を施した上で35台のキッチンカーを集結させ、人気を博した。

 現在の専務理事・船橋氏は元百貨店バイヤーの経歴と備前観光協会事務局長の実績を買われ、令和2年より就任。「SDGsの観点でのツアーを検討する旅行会社や修学旅行関係者の視察も増えてきた。ただ作ったり売ったりするだけでなく、なぜ備前焼が今まで続いてきたかをしっかり伝えていきたい」と話す。


【おかやま産業情報】2023年新春号 掲載
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協同組合岡山県備前焼陶友会
住所/備前市伊部1657-7
TEL/0869-64-1001 FAX/0869-64-1002
https://touyuukai.jp/

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