中山間地域の地域資源として注目されているジビエ(狩猟肉)。岡山県北部の森林地帯で捕れたシカ肉の缶詰を提供しているのが、(企)鏡野やま弁クラブ ののもん。「生命の源である食を通じて、豊かな自然と共に活きる」という理念のもと、ジビエの有効活用で地域振興に一役買っている。
団体名の「やま弁」とは、鏡野町で2010年から季節ごとに販売している弁当。そのうち「マタギ」と名付けた冬の弁当の献立には、ジビエ料理を入れている。調理の手間を省いてスムーズに提供できないかと考えた結果、缶詰にするアイデアが浮上。さらに一般向けに商品化することとした。
地元森林組合の建物に缶詰工場を整備。食肉の解体は美作市の「地美恵の郷みまさか」で行う。この施設は、衛生管理が適切な施設を国が認定する「国産ジビエ認証」を2021年7月に得ており、食の安心・安全にもこだわっている。
最初に販売したのは「鹿肉のす梅みそ煮」と「鹿の肉味噌~す梅味~」。す梅とは、地元原産の日本スモモの原種で、貧血防止や整腸作用があるとされるが、日持ちしないため市場には出回らない。希少な食材とジビエによるオンリーワンの缶詰を作り出した。
地域振興と商業性の両立を図るべく、「鹿肉ときのこのコンフィ」など3種類の洋風缶詰をリリース。商品化には贈答用の商品を探していた百貨店のアドバイスを受けた。レシピはシェフ直伝。さらに、ジュニパーベリーやクローブなど、本職が使うようなスパイスやハーブを用いて高級感を演出している。
また、OEMも現在6社から受注を受けている。シカ、イノシシなどジビエの缶詰が主力だが、変わったところではB級グルメ・カキオコの缶詰を製造。備前市日生町で焼いたカキオコを鏡野町まで輸送し、均等な大きさに分けて製缶。冷凍にはないおいしさが自慢だ。
ほかにも、県内外のイベントに出店してジビエ料理を出すなど、地域のPRに余念がない。丸山氏は「SDGsの観点からもリサイクルが容易な缶詰にこだわっていく。行政ともタイアップすることで学校給食のメニュー化を実現させ、町内の子どもたちにも郷土の味を食べさせてあげたい」と話している。
【おかやま産業情報】2023年年度末号 掲載
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