現社長・武本哲郎氏の父・平八郎氏が1955年に設立。無垢材の製材、集成材やプレカット材の製造・販売を手掛ける。近年は製材にとどまらず、切り出しから住宅建設までも手掛け、総合木材メーカーとしての地歩を固める。
当社の売上の60%を集成材が占めるが、国産無垢材の開発・販売にも力を入れる。国産ヒノキの天然無垢材ブランド「匠 乾太郎(たくみかんたろう)」は、独自の乾燥技術で含水率15%以下に抑え、木材の乾燥収縮による変形を極限まで抑制。柱に溝を入れる「背割り」が不要な建材の先駆けとしてハウスメーカーや工務店で採用されている。「発売当初は背割りのない柱は珍しく、昔気質の棟梁に受け入れてもらうのに苦労した」という。
7年前から始めた山林の買い取り事業では、放置林や後継者のいない県北部の山林を買い取り、同社自らが伐採。原木市場を介さず、機械による大規模な切り出し作業を自ら行うことで国産材の活用促進につなげている。さらに、次世代に森林資源を残すための植林活動も展開しており、苗木購入費や作業代に当てる「植林基金」を創設。匠 乾太郎の購入に応じて浄財を募り、基金にストックしている。SDGsに沿った企業姿勢や商品のストーリーをエンドユーザーにPRできることもあり、協賛企業は増えつつあるという。
CSR活動にも積極的で、津山市内の学校で木の役割や地球環境についての出前授業を実施。木材の輸入先の一つであるウクライナの戦禍を鑑み、木でできた折り紙の千羽鶴を集め、広島の平和記念公園に納めるプロジェクトも展開している。
また、自社の事業内容をアピールする冊子「NORTHERN FORESTRY MAGAZINE」を発刊。社員の仕事への向き合い方や林業に対する思いなどを収録している。武本氏と津山市長の対談では、補助金に頼らずに事業を続ける武本氏の経営方針などを紹介。地元高校生のメッセージも掲載しており、今春には掲載した生徒が実際に入社するなど、リクルート面でも効果を出している。
林業先進地のフィンランド、オーストリアに若手社員を派遣する研修も行うなど、人材育成でも尽力。竹内氏は「事業を次世代につなぐため、今後も山関連の事業に注力する方針。住宅着工数が減る中、公共、商業施設など非住宅部門にも力を入れたい」と話す。
【おかやま産業情報】2023年秋冬号 掲載
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
院庄林業株式会社
住所/ 津山市二宮22-1
TEL/0868-28-2111
FAX/0868-28-5368
https://innosho.co.jp