1965年、新見市で産出される石灰の輸送業者としてトラック2台で創業。2000年代以降は食品や一般雑貨など、取り扱い品目を増やして業務を拡大してきた。「市外に拠点を置いた最初の5年間は鳴かず飛ばずで苦労は尽きなかったが、顧客のためにやりきるという信念で何とか乗り切った。取り扱い品目の多様化により、ある品目が不調になっても他の品目で補うことができ、繁閑の差もカバーできている」と林田社長。自動車部品ではサプライヤーを巡回するミルクラン方式で集荷し、必要なタイミングで自動車工場に納入する引き取り物流によって地場産業を支えている。
当初より「数字にこだわる経営」を徹底しており、利益をドライバーの給与や賞与に還元することで自社のみならず業界の社会的地位向上を目指してきた。リーマンショックやコロナ禍でも待遇を下げない一方で、あいさつや身だしなみなどの社員教育に力を入れる。また、同氏は商工会議所青年部の岡山県連合会長を歴任するなど、地域貢献活動にも積極的に参加している。
トラック運転手の残業規制で物流の停滞が懸念される2024年問題については「業界がこれまでにないほど注目され、変革のチャンス」と前向き。これまでも他社に先駆けてデジタルタコグラフを導入し、事務所のモニターで車両の速度や走行距離などの情報を一元管理。法改正により遠隔で始業・終業の点呼が可能になったことから、今年4月から営業所間や営業所とグループ会社間をオンラインでつないで体調などを確認できるシステムを導入した。将来的にはロボットによる点呼を導入する考えで、さらにDX化を進める。
輸送面では、従来の大型トラックの倍の量を運ぶことができる連結式のフルトレーラーを3月に導入し、限られた人員で大量輸送ができる態勢を整えた。また、瀬戸中央自動車道水島インターチェンジ近くに新たな物流センターの開設を計画。例えば東海地方―九州間で往復2~3日かかっている輸送では、物流センターを拠点にして中継輸送することでドライバーの日帰り勤務ができるようにする。山陰や四国への物流基地としての活用も見据える。
林田氏は「顧客ニーズをしっかりと捉え、拠点の開設やM&Aを適切に進めていく。今後も適正な運賃に見合った質の高い輸送を提供し、社員満足度ナンバーワンの企業を目指したい」と話す。
【おかやま産業情報】2024年春号 掲載
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