1964年に大阪府で設立。3年後に津山市に工場を設け、後に本社機能も移転させた。創業当初から一貫してステンレスの配管製品を生産。オーダーメイドの鋳造品も手掛ける。
売り上げの6~7割を占める一般配管用の継ぎ手「ナイスジョイント」は、油圧で管を外側へ広げて突起を作り、ゴムパッキンを挟んでナットで締める仕組み。専用の機械で簡単に拡管できるので、溶接やネジ切りなどの高度な技術がなくても加工・施工が可能。耐用年数も長く、公共施設や高層建築の配管など国内外で幅広く利用され、全国の拠点病院の多くで使用されている。
今や拡管式継ぎ手で国内シェアの7割を占めるが、意外にも当初は売れなかったという。「東京中の設備業者を飛び込み営業したが、従来品と比べ重たく高価なのがネックだった」と話す。その後、大手サブコンに性能が評価されて口コミで広がり、徐々に販路を拡大。阪神・淡路大震災では耐震性が認められて神戸市の復興住宅の9割で使用されるに至った。2011年に愛知工業大学と共同で耐震実験を行い、エビデンスを補強した。
一方で、旧来品のねじ込み式継ぎ手も人気。特にゴムパッキンが使えない半導体の製造装置での引き合いが多く、旺盛な半導体需要からの国内工場の建設を追い風に、売り上げは堅調に推移している。事業規模の拡大を受け、2014年に現在地に新工場を建設。生産態勢を増強すると同時に、製造ラインや出荷作業のシステム化を進めた。熟練工の勘に頼っていた鋳造工程の知識・経験をデータベース化し、技術の伝承も図っている。
業務効率化と併せて残業時間の削減に取り組むほか、産休・育休の取得(男性育休の推進)、社員の子どもの入学祝金制度など福利厚生も充実。津山市内で初のワークライフバランス推進企業に認定され、若手人材の定着や女性の採用につながっている。
「先代は売り上げ60億円達成が悲願で、当時は夢物語だと思っていたが、新工場による増産で達成できて感慨無量」と中村氏。昨年8月にはナイスジョイントを初めてモデルチェンジし、基本的な形状や性能は変えずに緩み防止などの新機能を追加した。「今の会社があるのは先人たちの知恵と試行錯誤のおかげ。創業60周年を迎え、気持ちも新たに新製品を売り出し、若い人材と新しいオーエヌ工業をつくっていきたい」と意気込む。
【おかやま産業情報】2024年夏号 掲載
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