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2022年10月1日 発信 |
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2022.7(Oct.2022) |
「安倍晋三元総理の国葬儀」が終った。終わってみれば、良い葬儀だったとの印象である。これで良かったように思う。マスコミでは「国論を二分」と表現されたが、実態は十人十色だったと思う。岸田総理が国葬を決断した直後の世論は賛成が多かったのであるから岸田さんは勇気を持って決断をしたともいえよう。状況が定まったあとで決断するには勇気は要らない。「閣議決定に法的根拠がない」ことが反対の最大理由であったと思われるが、55年前にも「法的根拠」が問題になった様である。滅多にない想定外のケースを想定して法律で定めることは難しいのだろう。葬儀の様子は録画で見た。先に逝った人たちへの冥途の土産がまた増えた。岸田首相の追悼の辞は葬儀委員長として一定要件を維持する必要があるので内心定型的だなあと聞いていたが、文字で読んでみると随所に具体的な成果やエピソードが盛り込まれた重厚なスピーチと感じることが出来た。菅さんの友人代表としての追悼の辞は、近しい友人にしか語り得ないエピソードを随所に盛り込んで、聴衆を虜にした素晴らしいスピーチであった。議員会館の安倍さんの机に残された読みかけの本「山県有朋」の角を折った読みかけのページにマーカーで線を引いてあった歌は、山県有朋が長年の盟友、伊藤博文に先立たれ、故人を偲んで詠んだ歌であった。「かたりあひて尽くしし人は先立ちぬ今より後の世をいかにせむ」この歌を二度繰り返してスピーチは終わる。期せずして会場から拍手が沸いた。葬儀での拍手だったが違和感は感じない絶妙な拍手であった。こんな偶然がありうるのか、聞く者に深い感動を与えるスピーチであった。 | |
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・OUSフォーラム2022[山技振後援] | |
令和4年11月28日(月)13:00~17:30(ハイブリット開催:オンライン期間:令和4年11月21日(月)~12月11日(日) 専用WEBサイト https://renkei.office.ous.ac.jp/forum)、開催場所:岡山プラザホテル4F&5F、内容:特別記念講演、研究シーズ発表、技術相談。 | |
・第72回岡山県児童生徒科学研究発表会[山技振協賛] | |
今年も12月4日(日)に岡山理科大学を会場に開催される。協賛金と山陽技術振興会会長賞で協力するが、コロナ禍のため来賓出席はなく関係者のみで開催する。 | |
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・岡山県知事表彰(岡山県工業技術開発功労者) | |
残念ながら今年は応募0件となった。 | |
・山陽人材育成講座 | |
9月末現在で出前11、体験型講座18を含む59講座を実施し、延べ1448名が受講。年間見通しは106講座(内訳出前・共催28、ホーム講座78)、延べ受講者2588名。採算見通しも経費、講師委託費、教材改訂費、労務費等の増加を見込んでも増益の予想。9月8日に担当者会議をリモートで開催、22年度後半は当初計画通り実施出来ると想定、23年度についても“ウイズ・コロナ”を前提に22年度並の計画で了承された。12月16日(金)に第62回担当者会議を開催予定(23年度講座スケジュール再確認)。11月より、次年度に向けた営業活動(企業訪問)を開始する。 | |
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「実験動物の科学への貢献」2004年 故・高島征助氏(2007~2015年山技振理事) | |
平成16年4月1日付で岡山大学も独立行政法人組織に移行した。その一環として、4月から岡山大学で最初に統合された自然生命科学研究支援センターの外部評価委員3名の1人に任命された。平成16年上半期終了時に外部評価委員会が開催され、同センターの部門長4名から活動報告を聴取し、3名が質問・問題点指摘・助言を行った。大学側も法人化されて半年経過した現在、将来構想について手探りの段階であることを強く感じた。 その中で、何より私が愕然としたことは、動物資源部門からの報告の中で動物実験の実施が世界的傾向として年々困難になっているという事実である。その端的な例が、大々的に報道された英・オックスフォード大学の実験動物施設の建設中止である。英国の動物愛護団体が施設を建設している企業に強烈な圧力をかけ、ついに工事を中止せざるを得ない状況に追込まれたことである。もちろん、無定見に動物実験をしてもかまわないというのではない。しかし、これだけ科学が発達したと言われながら、発癌の究極的なメカニズムは解明されていない。これらの研究を最初から被検者や患者で行うかというと、それはまず不可能であり、これらの分野の研究には動物実験が不可欠である。とくに、肝炎やエイズなどウイルス感染症の研究、これらのウイルスのヒトへの感染メカニズムおよび治療薬の開発には霊長類以外では不可能である。 それに対して、動物愛護団体の主張は端的に言えば「たとえ医学や薬学の研究であっても動物実験はまかりならぬ」と主張するのである。然らばこのような団体のメンバーは病気になっても近代医学を完全に否定し、原始人と同様の生活形態を模索しているかというとそうでもなさそうである。私はこの団体の主張について不勉強であるが、根本的には「人間の手で他の生命を殺してはいけない」という事であろ。 私自身、17年前にオックスフォード大学ウイルス研究所で仕事をする機会があった。たまたま日曜日の午後、街の唯一の繁華街“カーファックス”を歩いていた時、この街の名物ミニバスから降りて来た20人余りのサングラス姿でプラカードを掲げた人達がショッピングモールにある毛皮店に押しかけ、その一人が店の天井に向けて拳銃を発砲したために、その付近は逃げ惑う人達で大混乱になった有様を目撃したことがある。私の近くにいた現地の老人が「あの連中は毛皮のコートや狐の襟巻を売っているのが気に入らないと言って時々あのように騒ぐのだよ」と苦々しげに話してくれた。 世の中には、様々な主義主張があって当然であり、それらを不穏な思想であると言って厳しく取り締まることは嘗ての独裁主義国家に逆行することになりかねず、それだけは民主主義の国家を堅持するために阻止しなければならないが、その一方で、動物愛護団体の「可愛い動物を殺して高価な商品を製造販売することは許せない」といって拳銃を発砲したり、ショーウインドウを破壊することを容認することは出来ない。また、この団体に、人類の永遠の敵のガンやウイルス感染症の発症メカニズムの解明や新薬の開発には不可欠の動物実験を妨害し、施設を破壊する権利はない。動物愛護運動がここまで高まった現在、最早これを完全に制止することは不可能であろうが、それでも「人類の幸せとは何か」という究極の命題について、私達一人ひとりが理性的に考えることが最も必要な事であろう。(平成16年9月5日高島征助)[kajix] |