2024年11月1日 発信

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2024.08(Nov.2024)
 11月は、会社生活のころから「新しい何かが始まる日」とすることが多かった。「紅葉・黄葉」は主に落葉広葉樹が落葉の前に葉の色が変わる現象で、新しい葉が芽吹くための準備でもある。日米の選挙を契機に「新しい何かが始まる契機」になって呉れれば嬉しい。
・基本事業:
(1)11月5日(火)14:00-17:00、児童生徒発明工夫展・未来の科学の夢絵画展審査会、於テクノサポート岡山。 (2)11月11日(月)13:00-17:00、産業教育140年記念式典、於ピュアリティーまきび。 (3)11月12日(火)10:30-12:00、有隣会。 (4)11月12日(火)14:00-15:30、岡山県産業労働部栗原氏来所。 (5)11月13-14日、OTEX、於テクノサポート。 (6)11月25日13:00-、OUSフォーラム、於岡山プラザホテル。 (7)山陽技術振興会第2回理事会:2025年3月6日(木)(予定)。 (8)山陽技術振興会総会・理事会・講演会(中村教授):2025年6月2日(月)(予定)
・人材育成事業:
(1)11月:企業訪問資料完成、企業訪問開始。 (2)12月6日(金)第70回担当者会議:2025年度講座スケジュール確定、次年度山技振日程等決定。 (3)2025年1月31日第34回AB会議:2025年度講座計画と3講座の講師交代報告予定。 (4)2025年3月6日(木)71回担当者会議(2024決算予想・2025年度予算案)
・ものづくり日本大賞(10月15日締切):山技振推薦で1件申請。
・9月25日〜10月9日の講座で電子アンケートを試行、モバイルルーター貸与で全員が電子回答選択。
・10月15日までに前講師と2025年度スケジュール調整終了、シラバス完成。
・社有PCを全調査:来年10月Windows10サポート終了に合わせて更新不能機種12台の廃棄方針決定、順次対応。
・10月末現在、出前10を含む72講座(54は対面)を実施、延1874名が受講。2024年度通期見通しは、29科目でホーム86講座と出前16講座、合計103講座に昨年を超える2718名が受講見込。経常外費用として研修室拡張と会議室整備合計500万円を検討中。
・出前講座:旭化成(4)、クラレ(6)、大分県(2)、日本触媒(3)、レゾナック大分(0)
二人の先達“倉田道夫と吉本隆明”
 11月に思い出す先達がいる。恩師倉田道夫先生である。出会いは昭和32年京大宇治分校無機化学概論の講義であった。先生はダンディーで東京弁だった。講義の日は早めに来て黄檗山万福寺などを散策して俳句をひねるのが楽しみという。講義は、コインを投げて裏か表か勘定すると、回数を増やせば増やすほど50対50に収斂するという「中央極限定理」から始まった。一定容積に存在する気体分子の衝突確率も同様な統計理論に従うという。そうこうして居るうちに、突然「気体の状態方程式PV=RT」が出現した。手品の様であった。タネはよく分からないが、手品は気に入った。専門課程に進んだら倉田先生の研究室に行きたいと思った。4回生になって講座配属があり、工業物理化学講座の田村研究室を志望した。倉田先生は田村研の助教授だったが、私の配属前にHarverd大学に行かれ、卒論指導は受けられなかった。代わりに博士課程のUさんが全面的に面倒を見てくれた。幸いにも実験屋のUさんに指導を受けたことが私の研究に対する姿勢を決めることになった。修1の夏に倉田先生が帰国され、化学研究所教授として赴任することとなり、Uさんとともに百万編から高槻へ何度も荷物を運んだ。倉田先生は、いわゆる理論屋・計算屋で、実験には口を出さなかったが、あるとき私がガラス細工をしていると「ちょっと貸せ」とガラス管を取り上げて見事な手さばきでT字接手を作り、ゴム止まで作られた。  昭和38年4月倉敷レイヨン鰍ノ入社、大学同級生の妹と11月に結婚式を挙げた。倉田先生に仲人をお願いし、日取りは(1)大学施設の楽友会館が使えること、(2)倉田先生の講義予定がないこと、の二条件で決めた。大安か仏滅か今もって知らないが"11月21日"である。(最近になって、11月22日が「いい夫婦の日」と呼ばれることを知り、我々は「いい夫婦の一歩手前の日」に結婚したことを噛みしめている。)  昭和30年代の後半は学生運動の勃興期であった。彼らを支えた思想家は吉本隆明である。60年安保の年に「異端と正系」を著わし一躍有名人になった。国会構内乱入集会で挨拶し、警官に追われて塀を超えて逃込んだ先が警視庁で、全員逮捕された。「吉本なんてさあ、同人雑誌に甘ったるい恋愛小説書いてたんだよ」。倉田先生と吉本隆明は東工大の同期生で、文学かぶれの同人仲間だった。「吉本君と僕は戦後の何も無いところで焼けつくように勉強した。数学の遠山啓さんの講義を食い入るように聞いて量子力学から高分子溶液論・レオロジーへと進んだ。」その遠山啓さんが亡くなったときの吉本→倉田の追悼文がある。「遠山さんが突然亡くなった。いま記憶の中から西日の落ちかかった階段教室、重たいゆっくりした口調で『量子論の数学的基礎』の講義を進めている遠山さんの姿を思い浮かべる。現在まで何遍その情景を思い浮かべただろう。生涯のうちに変形したり細部に拘ったりしながら繰返し想像的に再現する大切な情景があるとしたら、私にとっていつでも取り出されてくる大切な情景である。あれは敗戦の余燼がまだ醒めない時期のことだった。」今年は吉本隆明生誕100年(11月25日)にあたり、岩波文庫から「吉本隆明詩集」が発刊(蜂飼耳編解説)された。大学生協で横積みの岩波文庫を手にして「詩人吉本隆明」に驚き、懐かしさで購入した。吉本の最後の著作は「反『反原発』」である。吉本ばななのお父さんでもある。 [kajix]

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