明けましておめでとうございます
2025年は「十干十二支」の42番目「乙巳(きのとみ)」である。「乙」は十干の二番目で、物事の発芽や成長の初期段階を表す。まだ未熟で、柔らかく、しなやかなエネルギーを持ち、自然の流れの中でゆっくり成長しようとする姿勢を象徴する。「巳」は十二支の六番目で、成長過程の一つの節目を表す。巳は、生命が成熟し、成長が安定する頃合いで、変化や変容の意味も含まれる。このため、「巳」は自らの殻を破り、変化を遂げること、つまり物事が一つの形を完成させ、さらに新しい段階へ進む準備が整った状態を示す。巳年の特徴は以下の通り【1.計画力と行動力を兼ね備えている。2.信念をもって理想を貫ける。3.控えめながら輝く。4.根性がある。5.知的で洞察力がある。】山陽技術振興会も今年は新しい段階に進むことにする。
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(1)2025年1月31日第34回AB会議:2025年度講座計画と講師交代(3講座)を報告予定。
(2)3月1日(日)ホームページより2025年度山陽人材育成講座の一般募集を開始。
(3)3月2日(月)第71回担当者会議にて2024年決算案、2025年予算案報告討議。
(4)3月6日(木)18:30〜第2回理事会(2025年度総会付議事項審議:2024年度活動報告・決算案・2025年度活動計画・予算案、役員交代、その他)。
(5)3月24日(月)14:30~「プロセス安全とサイバーセキュリティ講演会(会員+非会員)」(於倉敷商工会議所)。
(6)6月2日(月)山陽技術振興会総会・第1回理事会、記念講演会(中村教授)を予定。
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(1)第74回児童生徒科学研究発表会;12月1日(日)岡山理科大学を会場に開催され、協賛金と山陽技術振興会会長賞授与で協力。会長賞を4名に授与@「ぜったいわれないぞ!どろだんごづくり」有松茉宏(岡山市立伊島小学校)、A「ダンゴムシの研究 パート2〜どうしてぼくのダンゴムシ迷路は失敗したのかな?100%成功を目指して〜、B「染物の研究3 色素の秘密を調べよう」藤田悠花(岡山市立竜之口小学校)、C「多面体の転がりやすさの比較」中川泰一(倉敷市立玉島東中学校)。
(2)第88回岡山県児童生徒発明工夫展および2024岡山県未来の夢絵画展表彰式:令和6年12月10日於テクノサポート岡山、山陽技術振興会会長賞を2名に授与:既報。
(3)11月26日人材講座で3講座同時実施に挑戦・成功(労災A、トラブル[出]、化工通論[出])。
(4)12月6日人材担当者会議にて2025年度講義スケジュールを決定。
(5)12月12日花王和歌山の人材戦略部長来訪、テキストの質の高さを賞賛。
(6)12月13日水島Eneos社皮切りに逐次企業訪問実施。
(7)出前講座:旭化成(4)、クラレ研修所(6)、大分県(1+残1)、太陽石油(1)、日触(2+残1)、セイカテクノ(残1)、レゾナック大分(0)。
(8)12月24日(火)中国経産局関係者来訪(ものづくり日本大賞推薦案件関連調査)。
(9)研修室拡張工事中(定員20名→30名),食堂→応接室へ改装中。
(10)12月末現在、出前14を含む86講座(対面59講座)を実施、延2273人が受講。2024年度通期見通しは、29科目ホーム86講座と出前予約17、合わせて103講座に昨年同等の2,707名が受講見込(2/3が対面講座)。
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de Gennesのヘビ
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今年は巳(へび)年である。蛇で思い出す物理学者が居る。Pierre-Gilles de Gennes【デュ・ジャン】である。彼は『単純な系の秩序現象を研究するために開発された手法が、より複雑な物質、特に液晶や高分子の研究にも一般化され得ることの発見』により、1991年ノーベル物理学賞を受賞した。高分子の分野では、高分子溶液の粘度と分子量(長さ)との関係が長期間研究議論されていた。Flory式とkurata-stochmayer式のいずれが実験データに合致するか? 濃厚溶液の場合は? 融液の場合は? その式の理論的根拠は? 等々で、長鎖高分子に於けるスケーリング則の議論があった。高分子に関するこのような状況に対し、de Gennesは、Snake/Cage Model を提唱し、ヘビが長くなるとヘビの絡み合いの及ぶドメインが如何に大きくなるか、籠から抜け出すのに如何ほど手間取るかを数式で表し、全く新しい観点から高分子および枝分かれ高分子のスケーリング則を提唱したのである。私は二槽式洗濯機で長袖ワイシャツが絡み合っているのを見るたびにde Gennesを思い出した。de Gennesが招待講演で来日した際、共同研究者同伴での招待となったが、ホテルの部屋はひとつで良いことになった。ノーベル賞学者がガールフレンド同伴で来日しひとつ宿に泊まって話題にもならなかった。さすがフランスである。(この件に関った先輩はもうこの世に居ない。)その偉大なる研究者de Gennesは、1932年生れで12歳まで学校に行かず自宅学習したとある。今でいう“ギフテッド”であったに違いない。高等師範を卒業して仏原子力庁に勤務、中性子散乱と磁性の研究をしてPh.Dを取得、1959年博士研究員として米国カルフォルニア大バークレー校に滞在、様々な分野の多様な課題に目覚める。1961年オルセーで助手となり、超伝導グループを立ち上げる。1968年に研究を液晶に切り替える。1971年コレージュの教授となり、ストラスブールのポリマー物理研究に加わる。1980年から界面問題、濡れと接着に興味を持つ。晩年には粉粒体や脳内記憶物質を研究、1994年の著書では二酸化炭素による地球温暖化懐疑論を唱えている。de Gennes が亡くなった2007年日本物理学会誌は土井正男先生の追悼文を掲載した。そこに成書5冊が引用されている。彼の論文は“印象派物理”と呼ばれた。(1)超伝導:Superconductivity of metals and alloys(Benjamin 1964)、(2)液晶:The physics of liquid crystals (Oxford University Press 1974)、(3)高分子:Scaling concepts in polymer physics (Cornell University Press 1979)、(4) 液体:Simple views on condensed matter (World Scientific 1992)、(5) 界面:Capillarity and wetting phenomena (Springer 2003)。 [kajix]
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