2024年2月1日 発信

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2023.11(Feb.2024)
 令和6年、岡山では穏やかな冬晴の新年を迎えたのだが、能登半島地震で日本列島は正月気分も吹っ飛んだ。日本丸の険しい船出となった。
・川崎医科大学KMSメディカル・アーク2024 【オンライン】
 開催日時2024年2月7日(水)12:00~16:00(山陽技術振興会後援)、事前申込み要。
・人材育成事業
 (1)1月31日AB会議:対面再開2024年度新スケジュール確認。山口大久保先生の最終講義をAB会議後に開催(他メンバーも参加)。(2)企業訪問:2024年度講義概要および2022-2023前期アンケートを外注印刷。これらを持って12月後半~1月企業訪問。
・令和5年度第3回理事会【日時確定:予定表に御記入下さい】
 日時:令和6年3月12日(火)18:30~19:30 、場所:倉敷商工会議所。主たる議案は、第79回通常総会議案審議です。【第1号議案:令和5年度事業報告、第2号議案:令和5年度収支決算報告、第3号議案:令和6年度活動方針・事業計画、第4号議案:令和6年度収支予算計画、第5号議案:研修室資金の積立、第6号議案:定款の一部改訂(役員定員)、第7号議案:役員改選(改選期)】
・山陽技術振興会第79回通常総会・理事会
 令和6年5月31日(金)13:00~14:30、場所:倉敷商工会議所 (1)総会13:00~14:00、(2)令和6年度第1回理事会:令和6年5月31日(金)14:00~14:30、場所:倉敷商工会議所
・山陽人材育成会総会
 令和6年5月31日(金)15:00~16:00、特別講演16:00~17:30、鈴木康幸氏(消防研究センター長・元消防庁審議官)、場所:倉敷商工会議所
・工場見学会、技術交流会、山技振サロンは引き続き休止。
・人材育成事業
 1月末で出前23を含む87講座を実施、延受講者数は2,415名となった。年間では99講座を実施見込で年間受講予想は2,709名。経常損益は197万円増の見込み。企業訪問に備え、シラバス300部、アンケート結果200部を印刷発注し受領、企業訪問開始。三菱ケミカル、三菱ガス化学訪問を手始めに2023年度実施状況と2024年度計画を説明。出前講座は、1月に旭化成、クラレ、太陽石油、日本触媒A、レゾナック大分を終了し、3月までに日本触媒B,大分県を予定。
「楽観と諦観考え直そう」
 20141017付朝日新聞“オピニオン”欄に掲載された土岐憲三氏(立命館大学教授歴史都市防災研究所教授・当時、1938年生れ、専門は地震工学・防災。京大工学部教授、工学部長などを経て現職。文化財防災に取組む。政府の中央防災会議座長も務めた。全国の文化都市で「文化財を災害から守る講演会」を開催。倉敷でも2014年10月25日に第19回を開催)の提言の一部を以前にも“山技振たより”に引用したと記憶するが、このたびの能登半島地震を受けて再掲する。「楽観と諦観考え直そう」
 日本人の自然災害との向き合い方を根本的に考え直す必要があるのではないか、防災専門家として私はそう言い続けています。今回の火山災害に限る話ではありませんが、それは自然と向き合う時の楽観と諦観です。楽観とは、たとえ行政などからの通知によって危険を察知したとしても、自分は大丈夫、あって欲しくないことは起こらないはずと、都合の良いように考えがちです。それは心理学で「正常化の偏見」と呼ぶようで、必ずしも日本人だけでないのかも知れません。ただ自然災害が頻発する不安定な列島に住む日本人には、致命的な結果を生みかねません。私自身、学生時代に苦い経験をしました。春山で、小屋のおばさんに「吹雪くから登るのはやめなさい」と言われたのに、大丈夫だと出発した。仲間7人と一緒でしたし若気の至りでした。案の定、吹雪に遭って、着るものも食べ物もないまま避難小屋で一晩過ごした。真冬なら遭難していたでしょう。以来、楽観を厳しく戒めています。
 諦観とは、自然災害を「天災」という言葉で呼ぶことにも表れているように、天から来るものだからしゃあないし、めったに起こるものでもない、そんな風に考えることです。運が悪かった、ではなく、どうすれば死なずにすんだか、徹底的に考えて実践することが大切なのです。先日の朝日新聞が、地震の揺れを検知して電気を遮断し、電気火災を防ぐブレーカーの普及が進まないと報じていました。震災後の電気復旧時に起きる通電火災は、阪神淡路大震災でも建物火災の少なくとも3割を占めていたのですが。
 また、私が懸念するのは、科学が楽観を強めかねないということです。私の専門の地震災害については近年、地震発生の切迫度を確率で表すようになってきました。ところが、海溝型巨大地震と比べて内陸型地震ははるかに頻度が低く、発生確率は数%程度の低い数字になりがちです。発生する可能性はこんなに小さいんだと、安心させる情報になりかねません。阪神淡路大震災後、発生確率を事前に予測したらどうなったか計算したら、最大限に見積もっても8%でした。事前にこの数字を発表しても、多くの人は、「大丈夫じゃないか」と逆に安心したのではないでしょうか。御嶽山の今回の噴火についても、噴火警戒レベル1という数字が安心情報となっていたのかも知れません。科学的知見を、科学そのものの不確実性や限界も含めて、社会にどうつたえるか。それは大きな課題です。
 自然をそのまま受けいれる。日本文化の良いところではありますが、やはり、自分たちが向かい合う自然に果たしてどれだけのリスクが存在するものか、個人も行政も明確に意識するべきです。【kajix】

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