2020 西大寺青年会議所スローガン

スローガンバナー

2020年度 第60代理事長 藤原辰徳

基本理念

~ 他を敬い、自らを変革し、次世代に西大寺青年会議所を送ろう。 ~

基本方針

全ての運動が「ONE TEAM」であること。

2020年度 第60代理事長 藤原辰徳

【はじめに】

西大寺青年会議所は創立より60年を迎えました。

運命共同体で「明るい豊かな社会を実現する」という、たった一つの使命のもと伝統を守り、地域を豊かにし、訪れた時代の転換期にも覚悟をもって運命に挑み続けてこられた212名の先輩諸賢に心より拝謝と崇敬を申し上げます。

今日を現役会員として迎えられましたことに、他者に対する比較や優越性、うぬぼれや傲慢さが包含されている「プライド」ではなく、自負と責任のもと内から湧き上がる感情の「誇り」を強く感じております。

この抱いた熱を動力にして一年間精進して参ります。

【スローガンに込めた想い】

さて、2020年度のスローガンは「変わり続ける。変わらぬ使命の為に。」としました。先ずは「変わり続ける。」です。私たちの活動エリアには西大寺会陽という揺るぎない伝統文化があります。500年を超える永き時代に亘り、この地に「生き」続けてきました。壮大であり、なんと崇高な在り様だと感慨深いものがありますが、その一方でひと所に留まり文化として昇華されるには条件が必要なのではないかと考えます。それが「変わり続ける。」です。

外部から見ると平然とあり続けているように見えても、その実、内部では激しい変化を求めてきたのではないでしょうか。500年前の戦国動乱の世や、そこから明治維新、世界大戦など想像を絶するような折々の変革期があり、それらを拒否し頑なにカタチだけを保とうとしてきたわけではないはずです。寧ろ、訪れる時代に呼応し、共に生きてきたからこそ文化として継承されているのだと思います。このことからも、私たちは「生き続ける」ためには「変わらなければならないこと」を地元で最も愛される伝統文化から教えて頂きます。

常に学び、世を読み解く眼力を備え、時代に即応する力と、時には「これだと決めたときには同時に何かを断つ」という決断力も必要です。また変化を楽しむための許容性を持ち合わせておくべきですし、現状維持は退化と一緒なのだという戒めも必要です。そして何より、これら全てが「変わらぬ」ために存在しているのだということを理解し、受け入れる心を養わなければなりません。このように生きるためには内部で激しい変化を求めるべきです。

かの俳聖、松尾芭蕉は理念の一つとして「不易流行(ふえきりゅうこう)」という言葉を残しています。この意味は「良い俳句が作りたかったら、先ずは普遍的な俳句の基礎をきちんと学びなさい。しかし、その先は時代の変化に沿った新しさを追い求めないと、陳腐でつまらない句しか作れなくなる。」とのことだそうです。「変わってはならぬものと、変わらなければならないものがある。」という考え方に対し理解を深める言葉です。本質を捉え、学び、守るべきものは何かをきちんと理解し、その上で常に新しいものを追い求める。何かを守りたいのなら新しいことにチャレンジする他にないと教えられます。

本年度は進化論の如くメンバー全員で「変わり続ける」ことに強く意識を持ち、今までの自分になかったあらゆる価値観を尊重し、他者を敬い、礼を尽くし、自らを常に変革し続ける集団となることで、創立より60年間ただの一度も途切れる事の無かった「変わらぬ使命」を守り、未来へ生きます。

他ならぬ「変わらぬ使命」とは何か。これは公と個の双方があるものだと考えます。公には「明るい豊かな社会を実現する」しかありません。そして、その為に必要な教えの1つが2011年より唱和されている、JCI MISSION「より良い変化をもたらす力を青年に与えるために、発展と成長の機会を提供すること」です。

1960年の創立以来、地域住民の一人として街の発展に全力を尽くすリーダーを創出すべく西大寺青年会議所はプラットホームであり続けました。そしてJC運動を通じて様々な人や事業と「出会い」、出会いによって「学び」、その学びは「成長」へと繋がるという、この不離一体を実に60年間も途切れることなく繰り返し、繰り返し地域に提供し続けてきたわけです。つまりJC運動へ懸命に取り組むことで、自らを「ポジティブにチェンジ」させることができ、その変化こそ成長の証だと伝え続けてきたわけです。これが西大寺青年会議所の揺るぎない公の「変わらぬ使命」であります。

個の「変わらぬ使命」とは何か。これは指導者たらんとする青年の団体に身をおき、果敢に行動する自分が求める道だと思います。ある者は「優秀なひとづくり」だという。ある者は「豊かなまちづくり」だという。ある者は「少年はだか祭りという伝統文化」だという。ある者は「国際的な視野を身につけること」だという。ある者は「個人の修練・社会への奉仕・世界との友情。この三信条こそ使命」だという。そして、ある者は「自社の発展こそが最大の地域貢献」だと唱えるメンバーもいます。これら全てが揺るぎない個の「変わらぬ使命」と理解します。大切なことは西大寺青年会議所のメンバー一人ひとりが高い志をもって、自己研鑽を積み、「若さ」がもつ無限の可能性を最大の武器として、限られた時間の中で常に挑み続けることです。変わり続ける事に対し、使命の為に信念を曲げてしまったと自分を恥じるのではなく、変わらぬ使命の為に変われた自分は、よりよい人生へと歩み出しているのだと信じることだと思います。
本年度のスローガン「変わり続ける。変わらぬ使命の為に。」は、先ずは変えるべきことと、変えてはならぬことのイデオロギーを確立し、それをきちんと他者へ説明ができるまで理解を深化させます。そして「変えるべきこと」には緊張感の中で正しい判断を行い、その先はメンバー全員で果敢に挑戦し続けます。

西大寺青年会議所は地域の宝です。私はこの団体から多くのご恩を頂きました。このスローガンを通じて、創立より60年目のバトンを託され現代を走る若き青年の私たちは、他を敬い、自らを変革し、次世代にこのご恩を送って参ります。

【全ての運動が「ONE TEAM」であること】

昨年のラグビーワールドカップにて日本中を熱狂の渦で包み込んだ日本代表が掲げた、言わずと知れたスローガンです。活躍された選手、サポート選手、ヘッドコーチ、トレーナー、スタッフ、そして国内外で熱い声援を送り続けたファンを含め、全ての人々が正に「一つ」になったと体現できた素晴らしい言葉です。

このとき「一つ」になる為には、他を受け入れる心に加え、持ち得る情熱を尽くして己を表現すること、また互いに不足している所は補い合い、時には新しく共創していくことが必要であると学びました。さらには失敗した時に「ドンマイ、次がんばろう」という言葉のみを頼りに表面上で終わらせるのではなく、逃げずにその原因を全員で掘り下げ、互いに指摘し合い、異なる考え方や観念を厳しくぶつけ合い、その本質を突き詰めることも欠かせない要素だと学びました。そして何より、それらを通じて自分も確かに「ONE TEAM」の一員だと実感した時の感動と興奮は今でも忘れる事ができません。

本年度も各委員会は多くの事業を担います。特に創立60周年に伴い記念式典、周年事業は確かな構築をしていかなければなりません。ただし、これら全ての事業をピラミッド型の上意下達で推し進めるのではなく、組織のボトムアップを意識した下意上達にて運動を展開する必要があります。このことにより互いの共感力を促進し、日を追うごとにメンバー同士が結束していき、そして事業終盤には再びあの「一つ」になることへの感動と興奮が甦ってくるのではないかと期待します。するとその先に、興奮はいつしか熱狂へと変わり、その熱は地域へと波及し、西大寺青年会議所「しか」ないブランディングとなります。この結果は自ずと同志を増やす運動にも繋がってくると考えます。つまりトップダウンによる事業の成功やその達成感はもちろん大切ですが、本年度においては例会の運営然り、少年はだか祭りへの運営協力然り、その他全ての事業や運動がメンバーを巻き込むためのツールであると捉え、いかにチーム内を熱狂させ「ONE TEAM」にすることができるかを最も重視します。

年齢も、性別も、仕事も、家族構成も、入会した切っ掛けも、現状の立場も、JCへの想いや意識も、皆それぞれ違います。それでも私たちは西大寺青年会議所という名の「ONE TEAM」、アイデンティティーは変わらないはずです。多種多様な背景をもち、体格や特徴が異なるラグビー日本代表選手が共生を成功させた秘訣は、この国を創る文化や歴史を何よりも重んじてきたからだと思います。国歌を知り、「さざれ石」に学び、かつての侍を勇気にかえ、桜の紋章を誇りとして戦う「日本人」になったからではないでしょうか。翻って、私たちも文化や歴史を重んじるこの地域を代表する選手であり、同じバッジを胸につけ、志を同じくする青年経済人です。そんな私たちだからこそ「ONE TEAM」は体現できると確信しています。二度と揃うことのないかけがえのないメンバーと共に感動と興奮に包まれ、笑顔あふれる一年にして参ります。

【結びに】

青年会議所の最も尊い使命は「あんな人になりたい。」という憧れの存在を創りだすことです。凛としたオーラを発し、その存在感にはいつも圧倒されます。そして何よりも、その輝かしい成功の裏には壮絶な日々と尋常でない覚悟ゆえのものだと知った時、瞬く間にそれ自体が「憧れ」となります。この憧れこそが、全ての運動に通じていると確信しています。

例えば会員の拡大運動においても候補者に伝えるべき唯一無二のJCという団体にしかないメリットであるはずです。私は、いまを共に過ごす全ての現役メンバーも同じ輝きを放ち、誰からも「憧れ」を抱かれる尊い存在になれると信じています。なぜなら、仕事の責任においても、家族と過ごす時間においても、この40歳までという時間は人生において貴重過ぎます。自分がその人生の幕を閉じるとき、最も貴重で、宝物のような時を、漬けだったと振り返ったとして、その想いに馳せる瞬間の自分は幸せなのだろうかと想像すると、時に怖ささえ感じます。それでも、この地にご縁をいただき、青年会議所という運命と出会い、己に与えられた人生の使命だと信じて、いまは命を燃やしています。

この志は西大寺青年会議所という団体にいまも変わらず身をおき、この瞬間も誰かのために一蓮托生で命を燃やしているあなたなら必ずご理解いただけるはずです。私は、あなたが成長を求める際、あるいは卒業を迎えるその時、このチームの一員として辿り着く先が「ただ優秀なだけ」だったでは不足です。常に利他の心で身も心も磨き、人としての魅力を身につけ、「憧れ」たる存在になることを求めます。地域の方々や未来を担う子どもたちから「あんな人になりたい。」の対象があなたであることを強く求めます。この過程こそが自分を遙かに超越する次世代のリーダーを育成できるものだと信じています。

未来を創るため、いまの自分をポジティブにチェンジさせ、共に変わらぬ使命の為に、変わり続けましょう。